ひろさんの貿易・通関 雑記録

貿易、物流、通関に携わる会社員の呟きです。 輸出入業者や貿易通関実務担当者へ、ビザスクやココナラでコンサルもしてます。  

生産性とコモディティ化

久しぶりに筆を取ります。

 

春先からある方面に向けて勉強を始めました。ついつい優先してそちらに時間を割きブログが滞っておりましたが、出来るだけ更新は続けていきたいと思います。

 

 

先日、出社前にニュースを見ていたところ、「配属ガチャ」なるものが放映されていました。

内容としては新卒が希望の部署に配属されない場合の退職率の高さ、のようなデータの説明でした。

 

「なるほどなあ……今はそんな時代なんだなあ……」

 

それについてはしばらくはSNS論議が飛び交っていたような気がします。

賛否両論ありますが、私的にはどちらと言えば否定派です。

 

前向きな考えで話をするとすれば、「もったいないな」と思っています。

 

私は今でこそ、「楽しい」「面白い」と思える貿易/通関関連の仕事をしていますが、就職して初めから「これ」をやりたいと思っていた訳では無く、巡り巡って今いる所に行きつき、ガムシャラに走っていくうちに「これが本当にやりたい事」と思えてきたのです。

 

軌道に乗るまで組織作りや成長戦略を色々と考えましたが、それについては入社当時に(おもいもよらず)配属された倉庫現場での経験や知見が案外役に立ちました。「役に立つ」というか、「強みに転化させ」る事ができたと言えるかもしれません。

 

倉庫現場にいた時はあまり大きな声では言えませんが、肉体的精神的に辛いところが多く前向きに仕事していたかどうか怪しいものでした。そこからキャリア変更に至った経緯は過去にブログにも書いたので省略するとして、それでも与えられた仕事は必要最低限こなし一定の評価は頂いていました。

 

あそこで嫌になって投げ出していたら今の自分(成したこと)は無かったなと思っています。

経験が、人を、できる事を、大きくするという一面は確かにあると思います。

早いうちから、情熱を持ってこれをやりたいというものが無ければ、まずは経験値という財産を得るために色んな(与えられた)仕事をやってみる、というのも立派なキャリア戦略かと思っています。

情熱を持って何かをやりたい事があるという事なら、初めからそちらの道を挑戦すれば良い。所詮、会社なんて他人が作った組織、他人が作ったルールの中でゲームをするのです。

 

 

この経験というのはなかなか大事なもので、改めていうものでも無いのですが、企業での競争戦略や個人のキャリア形成では重要な要素の一つです。

 

これを強みに変換させて構築すると他社(者)に対して優位に立てます。ただ構築しっぱなしでそれ以降何もしないと環境の変化によって次から次へと競合が現れて自己の存在を脅かします。常にアンテナを立て周りを見回しメンテが必要です。そしてそのサイクルを延々と回し続ける事で他社(者)には決して追いつけない競争力を持った企業風土(個性)が出来上がります。以上は企業と個人両方に当てはまると思っています。

 

我々物流業者も、現場の作業では長い時間をかけて創意工夫をして生産性を上げてきました。この生産性を上げるというのも一つの競争力を上げる事の取り組みの一つかと思っています。

 

ただここ最近の環境としては機械化の導入が増えてきたように思います。今後の人手不足を見据えての動きとも言えますしコスト面でも長いスパンでは人件費より設備投資の方が安い場合もあります。

 

この手の現場での単純作業は機械導入の効果は非常に大きいと思います。むしろ単純作業は積極的に機械化を図るべきと思います。昔でいえば駅員の切符切りなんて機械化されましたね。相当なコストカットだったのでは無いかと思います。身の回りではスーパーのレジ店員もセルフレジの導入が進んでいます。コンビニもいずれ全てがそうなるでしょう。

 

物流に戻りますが、案外物流業者の生産性って競争力になったりしてた訳ですが、これが機械化されていくとこの面においては強みとして発揮出来なくなるケースも出てきます。

見方を変えると、資金さえあれば投入できる設備は誰にでもマネ出来るわけです。勿論、会社規模により設備投資できない企業もあると思います。人手不足が進む日本においてはそのような企業はなかなか厳しい環境に置かれるとは思いますがそれはさておき、今まで時間をかけて磨いてきた強み(経験値)を短時間で無くしてしまう機械化というのは戦略を考える上では恐ろしいものとも言える。

 

これって、物流の現場だけで無く、我々の貿易関連の仕事にも同じ事が言えると思います。現場ではマンパワーですが、貿易関連ではノウハウ/知識がパワーの要因となるかと思います。現場の仕事と貿易関連の仕事を比較すると単純作業の割合は現場の仕事の方が多いと思っていますが、専門性が要求される貿易関連の仕事も機械化が進み始めています。AIもそうですね。

 

ここ最近DXという言葉が目につきます。これに対する今の動きについては、個人的には「どうなんだろうな……?」と思っています。

 

DXという言葉を色々と調べてみると代表的なのが「デジタル技術を用いて業務を改善」「ビジネスモデルの創出」「企業風土の変革」などなどあります。

何となく身の回りでの身近な話では「業務改善、生産性の向上」というオペレーション担当者ベースでの声が大きいように感じています。

 

これって……導入する企業の「ビジネス(顧客)創造」に結びつくのでしょうか?

導入する企業の売上向上に結びつくのでしょうか?

これからマーケットが段々とシュリンクしていく中で、皆が「一様に」設備投資をして生産性を上げてその面ではなかなか差別化が図れなくなる……あらゆるものが機械化されて企業の競争力を支えるコアな部分まで機械化されてしまったり……どこの企業のサービス(価格面など)も変わり映えなく「コモディティ化」してしまうのでは無いか……そんな未来像が頭に浮かびます……少し極端過ぎるかもしれませんが…。

 

とはいえ、私もできる範囲では機械化は実は賛成です。

通関書類を作る際に、何百アイテムのインボイスがpdfできたりすると

「おい〜!マジかよ!」

商品わからないから絵型下さいとリクエストすると、どこかのECサイトに載っていた商品画像をエクセルに貼り付けて送ってきたのを見て

「ったく、ふざけんなよ!」

など、心の中で叫んだりしてます(笑)。

(すみません、上記失言です、流してつかあさい)

 

 

私はそれを導入/検討するのと同じくらい、いやそれ以上に、もっと企業が力を注ぐべき所が他にあるのではないか?と思うのです。

肝心な「顧客に対して」提供できるサービス、自社が他社よりも顧客から支持され生き残るサービスはどこにあるのか?どうアクションを取るべきなのか?設備投資した回収の基はどこから?どのように競争力を高めて売上を確保する?それらも同時に考えるべきでは無いのか?と思うのです。

 

生産性を上げて労働時間を短縮しどこでもリモートで仕事できる。素晴らしい事です。オペレーターの環境は著しく快適になるでしょう。

それ(DX)と、各企業の顧客への他社と差別化されて支持されているサービスの提供、この二つが結びついているイメージがなかなか自分の中では湧かない……。

 

そのように個人的には感じています。