ひろさんの貿易・通関 雑記録

貿易、物流、通関に携わる会社員の呟きです。 輸出入業者や貿易通関実務担当者へ、ビザスクやココナラでコンサルもしてます。  

通関業者と自社通関:その1

こんにちは。

 

今回は通関業の免許と自社で行う通関について話をしたいと思います。

 

①通関業の免許

ご存知の通り、通関業の免許(許可)を取るには通関業法に記載されている要件をクリアしないといけません。それについてはここでは触れないですが「取得する意義、目的」について話をしていきます。

 

業と言っているわけですから、免許取得は最終的には収益に結びつかないといけませんし、各企業の経営戦略上の判断によります。

 

どんな企業が通関業の免許を取得するかということですが、やはり貿易に携わる国際物流業者が多いと思います。

フォワーダーであったり、港湾運送事業者であったり、倉庫業者であったりすると思います。

以前何かの記事で読んだのですが通関業の免許を持っている企業は他に何らかの業務を複数持っており、通関業のみで経営している企業というのは通関業者全体の数%だというのがありました。自分の経験からしても、各企業において複数の業の経営の中での通関業の収支ウェイトというのは決して大きくは無く、通関業を経営の主体にしている企業はかなり少ないのではないかと思っています。

 

通関業免許取得へのきっかけですが、もともとこれらの国際物流企業の業務の取扱範囲からすると「通関行為」は必ず含まれ(または前後に存在)、客先からするとその委託している国際物流企業への通関依頼(機会=ビジネスチャンス)をするケースは多いのではないかと思います。そうであれば顧客満足の提供は必要であり通関業への進出は必然の判断なのかもしれません。

 

またその機会を足掛かりとして同業他社が進出をしてきて、自社の本業を脅かす事になる可能性が出てくるのを防ぐ手段にもなるかもしれません。

例えば自社の本業が倉庫業であり、客先の商品が輸出入があった場合。現行自社が通関免許を持っていなければ客先はそれができる業者を探して通関の依頼をする事になります。

その依頼された通関業者は、やはり同業に近い背景を持っているので倉庫のサービスを提供できるとなると自社に引き寄せようと倉庫面での営業もその客先にするようになってきます。

自社としてはあまり良い状況にはならないのでなるべく自己の取扱業務の範囲を広げていこうとします。通関免許の取得にはそのような背景がある場合もあるのではないかと思っています。

 

さて、そのような状況や判断で取得をしようと決断しても組織として収益を確保できるようにしないといけません。

たまに、この仕事はサービスだから儲けは無くても、なんてセリフを聞きますがそれはサービスだから赤字が許されるというわけでは無く、ギリギリのところで採算が取れているという事を意味しているのだと思っています。

 

企業としては、顧客満足に繋がるから、とか、他業者の進出を防ぐ、という理由だけで免許の取得をする事はまず無いと思います。

収支的な数字の裏付けができて初めて動き出すものだと思います。なので、しっかりと採算が取れる客数であったり業務を遂行できる設備や人員を確保し支出面を把握をして、取得に向けて進める必要があります。

 

余談ですが、以上の事は通関業法にも記載されています。業法5条に「業務遂行能力を有し」とあります。

以前私が勉強していた時ですが、これらに加え「市場に照らして免許を与えるのに必要と思われる」のような要件があった記憶があります。要は通関業者の数が各港(税関の管轄区域内)において過剰にならないように、というバランスを取るための要件があったような………。通関の自由化が進み自由競争も叫ばれこの要件は無くなったという事なのでしょう……。

 

法律の仕事であり、料金表掲示義務がある通り透明性のある経営をしないといけないですが、背景は民間企業が運営をしています。

毎年、予算があって、経営方針を打ち出され、それに沿って営業も進めなければいけません。

個人的には、企業においては決して主要ではない通関業務そのものも、継続的にしっかりと収益を確保しないといけないと思ってますし、雇用される者としては当たり前の責任だと思っています。

 

結論としては、採算が取れる業(=商い)だからこそ通関業の免許を取得する、という事ですね。

 

次回は、自社通関との比較についてお話ししたいと思います。