ひろさんの貿易・通関 雑記録

貿易、物流、通関に携わる会社員の呟きです。 輸出入業者や貿易通関実務担当者へ、ビザスクやココナラでコンサルもしてます。  

物流とサービス業

今回は直近の業務をしていて感じた事を書いていきます。

 

* 私の管轄は通関業なのですが、客先の要望によりフォワーディング取扱も行います。その場合同業者に依頼をして手配をしてもらいます。

昨今コロナ禍からのコンテナ不足等により、なかなか船腹予約が取れずフォワーダー業の皆様は大変苦労されているかと思います。私も客先からの要望でフォワーダー同業者に手配依頼をする関係で同じ思いをしています。

手配をする際はその前後の作業の準備もしなければなりません。各部署(関連企業)への確認、手続きも必要です。

それらを全て終了させてようやく完了となります。完了となるのは「手配が完了」という事で、現場ではまだ何も行われてません。貨物/商品が動いている訳ではありません。

このコロナ禍で先行き不透明、販売も読めなければ、リモートワーク等で業務も滞りがち。

一度組んだスケジュールがキャンセルとなり、リスケジューリングする頻度が増えたような気がします。

手配や段取りというのは「物」は動いてないのですが「人」は動いています。

ただ、我々物流業者は「物」を動かして初めて売上となるのでこのリスケジューリングに費やした事務の時間は何も生み出して無い事になります。

客先にとってみたらあまりこの話はピンとこないかもしれません。物流=倉庫/トラック=倉庫作業員、ドライバーという認識で彼らが動かなければ費用は発生しないと捉えがちです。

ただそれらを円滑に進めるために営業窓口や事務方は、現場への作業人員の手配指示や配車依頼(フォワーディングであればブッキング依頼)をしなければなりません。これらは電話一本で全てができる訳ではありません。そしてそれは結局は人が時間をかけて進める事になります。

最近は一度船舶予約をしたものについて、キャンセルが発生したらキャンセル料金が発生する場合が増えたように思いますが、その理由の一つとして上記の変更の手続きに費やす時間の各方面で動かれた「人」の費用なのだと見る事もできるのでは無いかと思っています。

 

先日も自分の身の回りでその様な事が起こり何回もリスケジューリング終えて落ち着いた後に、ふと「これに費やした時間はどれくらいだったか……他に色々と仕事片付けられたし、やりたい事もできたなぁ…」と少し残念な気持ちにもなったりしました。

ちなみに第三者を責める気持ちはありませんし、ある意味致し方ない面もあります。

 

* 客先からの要望は様々なものがありますが必ずしも合理的な物でないものあります。合理的なものでないもの……我々は物流業であり客先に提案できる価値として「出来るだけ費用をかけない」「短時間で」という二つを心がけてサービス提供している訳ですが、我々と客先では視点や認識という点で何かとズレが生じるケースがあったりします。

客先の要望が(物流業者視点で)上記二つに沿わない(ただ客先としてはそうなると認識している)ものがあった時はそこは説明した上で、もし折り合いがつかない場合はまずは客先の要望通りに進めていきます。

結果としてそのサービス(対応)にかける時間や労力が膨大になったとしても、とりあえず客先の要望は達成したので一定の満足感は得られるのかもしれません。

 

ただ自分としてはそこは満足してはいけない所だと思っています。

 

客先の要望に応えるのはサービス業としては必須。それとは別に、自分が所属する組織/会社への成果義務を果たしているか……?

 

殆どの日本企業の待遇は固定給では無いかと思いますが、これが歩合制だった場合は何となく想像がつくのでは無いかと思います。

 

いや、お客様が一番、まずは対応して信用を得る事が最重要。はい、よくわかります。間違ってはいないと思います。

ただそこから先の思考が止まりいつまで経っても同じ事を繰り返しお互いがウィンウィンになるようなビジネス関係にならないのならば、客先との関係性や自分の仕事の仕方を見直した方が良いのではないか?と個人的には思います。

 

* サービスの標準化という事は進めるべきだと思っています。サービスの質のボトムアップも平行して進めるという前提付きでです。

日本では特にこのサービスが属人化するケースが、特に業界によって存在するような気がします。この貿易関連(フォワーダーや通関業者)業界も当てはまるのではないか?と思っています。

 

「あの人なら助けてくれる」「あの人ならやってくれる」。客先が担当を評価している時に使うキーワードです。

 

その担当はどんな事をしているのか……というところです。

客先の話を良く聞く。これは当たり前の事であまり高評価に繋がりません(とはいえ、これもできない担当もそれなりにいるので、それだけをしっかりやるだけでも悪い評価になる事はありません)。

良くあるケースが「どこに頼んでもできなかった事が、あなたはやってくれた」「どこに聞いても手配できなかったのに、あなたは手配してくれた」という内容のものです。

結果として客先を助ける事ができた事は評価に値する事ですし、信用も得られます。

ただ、それを遂行するのに「無償で動いていないか?」「労力に見合う対価を頂けているか?」という事が重要と思います。

 

ともすると、客先から評価を得たいがために夢中で動いて対価を気にせずに提供してしまったり……。

 

決して悪い事ではありません。客先が喜んでなんぼの世界がサービス業かもしれません。

 

ただ、そこで対価に見合わない「あの人ならやってくれる」「属人化」のサービスの蔓延は、結局、我々の棲んでいる業界そのものの価値を下げる事にならないか……?

と、最近思ったりしました。

 

通関(業者)や物流3PL(企業)が提供するコンサル業って、なかなか成り立ち難い気がしてます。

 

それは自社で案件を獲得できるようにルーチンでコンサルティングが行われているからです。逆に案件を獲得するには提案(コンサルティング)が必要です。それが当たり前なので、例えば通関でも物流でも、「改善案だけ欲しい」「提案が欲しい」場合は客先は既存の委託業者に「無償」で聞きます。聞かれた業者も客先を失いたくないので無償のサービスで回答します。

 

結果、コンサルティングだけで費用を支払うケースは限りなく少なくなります。なかなかコンサルティングだけで経営している企業は多くないと思いますが、個人的には勿体ない事だと思っています。