ひろさんの貿易・通関 雑記録

貿易、物流、通関に携わる会社員の呟きです。 輸出入業者や貿易通関実務担当者へ、ビザスクやココナラでコンサルもしてます。  

通関士試験について

先日3日の日曜日に第55回通関士試験が行われました。

 

受験された皆様、お疲れ様でした。

 

今回ですが……思う所があり、私も受験しました。

今回はこれについてお話してみようと思います。

 

 

2021年頭ですが、毎年初めに会社で豊富/意気込みを問われるので、個人的にも「今年は何をしようか?」と練っていた所でした。

やはりこのように経営環境が厳しい時期ですし物流業界も大きな転換期を迎えると捉えられており、トップからは「何に挑戦するか」と新たに命題を絞られ提示されて少し考えさせられていました。

 

このブログを始めて通関士試験について今まで以上に気にするようになり、また去年も通関士試験を受けており残念な結果に終わっている数人の部下もいるので、彼らを後押ししようかなと思うところもあり、何となしに試験内容でも調べてみるか……次回は何回目なんだろう……と調べてみたら55回目という数字が目につきました。

 

私もそれなりの年齢になりここ数年キャリアの節目というか転機に差しかかってきていると認識しており、何かをしなければいけないと思っていた所です。

 

私がこの業界に入るきっかけになった通関士試験の合格した回は33回目の通関士試験です。

 

「そうか……もう22年も経ったのか……」

 

合格してこの仕事を始めた頃の事をまだ昨日のように(は大袈裟ですが)覚えており、その時の情熱をもったまま(これも少し言い過ぎですが)ここまで来ました。

 

今回の試験の回数の55という数字を見て、前回は33回目の合格を勝ち取ったという事もあって、(単にゾロ目なだけなのですが)キリも良いし何かの縁なのかもしれない、と思い受験する事に決めました。

 

単純ですが勢いづけた受験する1番の理由はそこでした。

 

 

そうは決めたものの不安はかなりありました。そもそも勉強できる頭になってない(年齢的にも厳しいか)し、試験内容、難度も以前とは比べ物にならないだろうと……。(20代後半で合格したのが33回目……という事は、今の年齢がおおよそ察しがつくと思います。)

 

私の感覚ですが、今現役で通関士の仕事をされている方が、急に「明日」通関士試験を受ける事になったらどれだけの方が合格ラインに乗るのか……かなり少ないのではないかと思ってます。通関現場で必要な法律と試験で問われる法律は、内容も頻度も違います。別物と言っても過言ではない。

 

なので通関士資格を持っていても、改めて試験を受けようとなれば、しっかりとした準備は必要です。また以前合格した時と比較すると出題パターンがかなり違いすぎる。

 

私はなるべく「負ける戦はしない/したくない」「勢いだけでは進みたくない」性分なので、最初に最近の試験の傾向や合格の為の戦略を考える事にしました。

 

これについては「通関士試験みこ」サイトを活用させて頂きました。

https://www.miko-sakura5523.com/

こちらのサイトは非常に為になりました。このサイトで最近の試験の全体の概要を知ることができ、傾向や戦略などが把握できたのでこのサイトが無ければ試験は難しかったかもしれません。

 

テキストを選定し、おおよそ1月あたりから勉強を始めました。

これ以降は、実は前回の試験の時と同様のやり方で勉強を進めました。教科書の精読は初めの数回くらいでそれ以降は過去問の繰り返しです。問題集を選ぶのも少し苦労しました。以前勉強した頃は殆ど市販されてなくて1種類くらいしかなかった気がします。なので殆どの人がその問題集を使っていたのではないかと思います(教科書も同様)。そういう意味で間違いはなかった。でも現在は違いますね。間違いはないかもしれないが迷いはある。この問題集の選択も「通関士みこ」サイトを見て決めました。

 

スケジュールの進め方ですが、過去の出題内容を見た上で、実務に関しては後回しにしても良いだろう、やはり記憶力も弱くなってるし、業法税法を先に、という方針で進めました。

 

結果として実務はもう少し早く進めても良かったかな、という事と業法はそれ程時間を割かなくても良かったかな、と思いました。

 

以前勉強した時は、殆どが「砂を噛んでいるような」勉強でしたが、流石にこの業界で仕事をしていると実務で経験した事が3教科それぞれに問いでも出てくるので正答率が上がるのは前回よりも早かったと思います。もちろん全てが実務で経験してる訳でもないので、そこはひたすら暗記でした。

 

時の流れを感じたのは勉強時間でした。以前はそれこそ体力のある年齢ですし、合格すれば人生が変わるかもしれないという強烈な意気込みも持っていたので、仕事で夜の2時や3時に帰ってきても執念で小一時間勉強したり、ほぼ毎日2時間勉強、土日は半日という、今から思うと良くやったと思える程でした。しかし今は……1時間も座って勉強してると腰が痛くなったり集中力も途切れ途切れになったり……何よりすぐに眠くなりました(笑)。また今回受けて合格しても何かが変わる訳でもありません。モチベーションの点でも比較にならない。

なかなか苦戦しましたが、勉強スタイルは気持ちの切り替えをして平日は1時間、後は土日に集中してやる事にしました。コロナ禍で外出しにくい環境が、かえって踏ん切りつかせたかもしれません(今年ブログ更新滞りがちなのもこれが理由でした。ブログ書いてるなら問題解いていたいと思うようになりました)。

 

事前の準備として模試も受けました。去年から在宅模試なんかがあると聞きましたが、現場での試験はそれこそ何十年ぶり、会場での模試を申し込みました。

そこで実務科目の点数が(笑ってしまいましたが)7点しか取れず、かなり動揺と焦りを感じました。

「しまった、やはり、教科免除で1科目か2科目にすれば良かったか?」と一瞬後悔しましたが、それで合格して何が嬉しいか?と気持ちを立て直し、残りの時間までの日数もペースを乱さずに過去問/0申を進めて行きました。

 

試験当日は緊張もせず取り組めましたが、受験された皆さんと同様、1科目から躓きました。かなり動揺し、2科目の難しさも捉える事もできなかったくらいです(笑)。帰る電車の中で「業法の基本通達読まないとわからん問題なんて通関士試験にいらんわ!」なんて大人気ない事を考えてました(笑)。

最後まで実務には少し不安が残る状態で試験に突入しましたがいつもやってる事の繰り返しで取り組み、普段と同じように仕事をしている気分で(笑)回答しました。

 

試験終わって1週間経ちましたが振り返ってみて、受けて良かったと思いました。私の周りの方で通関士の資格で仕事をされてる方で再チャレンジされてる方は見た事がありません。普通に考えて、通関士資格には更新制度もなく、再度合格しても特に(表に出るような)得るものもなく、あったとしてもそのかける時間と労力に見合うものは見当たらないと思う人が多いからだと思います。

今回受験された方で、もし合格を勝ち取られた方であれば……その時は今話した事が想像つくのではないでしょうか?

そんな中で再度自分を追い込みここまで勉強した事は、まだまだ自分はやれるな、と自信を持つ事もできましたし、通関の仕事において気付きもいくつか得られたので良い体験ができたと思っています。

 

今回受験されて合格を勝ち取られる方。

これがゴールではありません。その仕事をしてみたい(全員ではないと思いますが)という想いでここまで努力をされてきたのだと思いますが、合格した時がスタートラインです。

これからは(顧客や会社に対しての)より良いアウトプット(成果)が求められます。そして周りには豊富な経験と知識の持ち主である先輩方がいる訳です。どうか頑張って下さい。

また日本の貿易振興の一端を担う人材になれるよういつまでも研鑽してほしいと思います。

 

最後に、関税協会の回答速報で自分の採点をしたのですが、業法、実務は基準を上回り、税法はちょうど6割でした。税関の回答が1問でも異なると不合格となりますが(笑)、そうなったとしても自分としては良くここまで点が取れたと満足してます。