今回、「輸出入者向け」という新しいスレッドを立てました。
このスレッドはその名の通り、「忙しい」輸出入の皆様に向けての記事で、簡潔にできるだけ分かりやすく話をしていきます。ですので記事の物足りなさを感じる方もいらっしゃるかと思いますが、その時は他に更に詳しく説明されている方も沢山いらっしゃいますのでそちらを参考にしていただけたらと思います。
私の実務の中で経験した話をもとにしています。
私の会社は通関業者ではありますが、お客様からフォワーディングに関わる見積依頼が度々あります。
「A国から日本のB市まで貨物持ってきたいんだけど幾らくらいかかるかな?」
大概このようにざっくりとした質問です。私はこのような問い合わせが大好きです。機械的な対応の営業担当と差別化を図る時です(笑)。このような質問を寄せてくるお客様は忙しすぎる方か貿易の知識をあまり持ち合わせていないかのどちらかと思っています。どちらの場合も共通しているのは「早く答えが欲しい & 解りやすく」という事だと思います。
私が初めに聞く質問は、
「タームは何ですか?」
これでお客様が良く理解ができなかった場合は、
この質問をすることで見積もり範囲をはっきりとさせる事ができます。
ターム(インコタームズ)とは国際商業会議所 (International Chamber of Commerce: ICC) が策定した(売手と買手の)貿易条件の事です。
参考までにウィキペディアのインコタームズの説明を張り付けておきます。
それでは、なぜこのタームの質問が一番初めに来るのか?という事ですが・・・。
それはこのタームが、お客様(輸入者)がどこまでの費用(危険)を負担するか?という事を示す用語だからです。
代表的かつよく使われるタームの「CIF」と「FOB」を簡単に図で説明してみます。
上の図は例として中国と上海港を例にしています。
要はお客様の費用負担(=見積依頼)は上記の赤い矢印の部分という事ですね。
先に挙げた質問に戻りますが、
「A国から日本のB市まで貨物持ってきたいんだけど幾らくらいかかるかな?」
に対して、タームの問い合わせを返した際に、
「CIFと中国(売手)は言ってきてるんだよなあ」
となれば・・・少しつじつまが合いません。A国にある貨物を日本へ(日本側の責任と費用負担で)引っ張ってくるという事だとFOBになる訳です・・・。
ここをクリアにしておかないと、後程問題が起きかねません。
手配しなくていい運送をこちら側が手配して、その分の費用は売手(輸出者)負担なのか買手(輸入者)負担なのかで揉める事があります。これ、実際良くある話です。
逆のケースで、こちら側が手配しなければいけないのに手配をせず貨物が倉庫で放っておかれていた・・・という事も聞きます。
タームを輸出入者ともにしっかりと理解をして把握をしておく事は大変重要です。
当たり前のことを言っていると思うかもしれませんが、CIFやFOBの言葉は知っていても、費用負担の事まで良く理解している方はそれ程多くないと感じます。
業者にお見積依頼やご相談をされる輸出入者の皆様は、まずはタームの確認と情報提供をしていただきたく思います。