ひろさんの貿易・通関 雑記録

貿易、物流、通関に携わる会社員の呟きです。 輸出入業者や貿易通関実務担当者へ、ビザスクやココナラでコンサルもしてます。  

通関業者からのキャリア論:その3

こんにちは。

 

通関業に従事されている方のキャリア論の話を進めてきましたが、今回は「中堅層(40~50代)」の「従業者と通関士」について思うところを話したいと思います。

 

初めに。

少し前は40代から(特に)50代というのは中堅ではなくキャリアのほぼ最終と位置付けられていました。今は環境が変わりこれからはひょっとしたら60代もずっと働かなくてはならない環境になるかもしれませんね。そうすると50代をキャリアの最終と決めつけるのは早い気もします。と言う事で少し幅を持たせて50代は中堅層に設定してみました。

 

これ以降の年代はいろいろと見えてくるものがあり、そういった中で様々な判断をしていく事になります。その中で働き方と選択できるキャリアは徐々に狭まってきます。

今いる会社で、専門家として余人に代えがたい人材として現場で働いていくか、より上位層を意識して管理職を目指すか。それらを踏まえて転職も選択肢に入れるか。転職は20~30代よりは一般的には厳しいと言われています。家庭環境も考慮に入れなければいけません。そのような事を踏まえつつ話をしていきます。

 

①中堅層の従業者

感覚ですが、現在はこの層はあまりボリュームがないような気が個人的にはしています。自分が30代初めのころは、通関士を取得していない従業者の方が沢山いて、通関書類を作成してように記憶しています。その方々は団塊の世代だったのかもしれませんね。今は団塊の世代も定年で去っていき、時は流れて環境も変わり通関士は通関業務(実務)、それ以外は窓口営業と分業が進んだのかもしれません。

この層にいる方々は、通関業務ではなく窓口営業であったり他法令申請を担当しているケースも考えられます。また、他部署からの異動で通関士どころか貿易知識も有していない方もいらっしゃるかもしれません。ですので一括りにして話を進めるのが難しい。

ただもしこの業界でもうしばらく働きたいと言う事であれば「通関士」は取っておくべきだと思います。もし従業者経験が長いようなら1科目免除、2科目免除で試験の難易度は下がります。3科目受験に比べたら容易です。どの年齢であっても通関士試験合格は所属企業から一定の評価を得られます。

所属企業によりますが、通関士を持ってはいないが業界キャリアは十分で社内では余人に代えがたい存在だ、という方であれば組織の上位層を目指すのもアリだと思います。営業面の視点を持っているのであれば、経営層の考え方も比較的理解ができるのではないかと思います。

この層はがっちりと通関業務に染まってないケースが多いかもしれません。窓口営業、売上ノルマ、成績評価・・・。むしろ通関士を持っている中堅層よりは「心理的に」管理職を目指しやすいかもしれませんね。

通関士を持っていない状態での同業者への転職は難しいと思います。もちろん転職先の企業の需要によりますが、その市場においてそういう人材の価値がどれくらいあるか・・・年齢も考えると・・・縁故以外に可能性は無いのではないかと思います。ただ、この業界を充分に経験していると言う事であれば、それを一つの武器にして「他業界への転職」は考えてもいいかと思います。もちろん簡単ではありませんが。

 

いずれにせよ、自分の持っている「武器」をよく棚卸をして、それをもとに一番良いと思われる道へ進む、その決定をすべき年代なんだと思います。

 

②中堅層の通関士

この層での「経験が少ない」通関士というのはあまりいないかと思います。今いる組織ではしっかりとした足場は築けているはずなので、もう少し上の待遇であったりやりがいを求めたい気持ちが出た時に、組織の上位層を目指すか、転職を考えるか・・・という事になろうかと思います。

 

現状に不満がない、このまま通関士を極めていきたいという方は、そのまま続けていかれたらよろしいと思います。後進の育成も気にかけながら自己の研鑽も欠かさない。企業側からしたら確実に見込める戦力として長期雇用を考えると思います。

 

組織の上位層を目指す道もあります。もう少し立場が上の視点で仕事をしてみたい。収入をもう少し増やしたい。今まではなかった仕事へのやりがいや家庭の事情等、若年層とは異なる感情が出てくるのも当然です。当面の目標はその部署の責任者。その次は会社の経営層。本人の頑張り次第です。ただ想像の通り、上位層に行けば行くほど現場からは離れていきます。またそこで求められるのは通関業務の知識ではなく営業的な数値です。今までの「法律相手」の業務ではなく「そろばんを弾く」視点で収支や戦略を考えなければいけません。そちらがミッションとなるので、現場での細かい(通関に関する)情報や動向は少し捉えずらくなります。もし通関業務自体が好きだとか書類をずっと作成していきたいというのならば上位層への道は熟考は必要です。

 

この層の同業他社への転職も、場合によってはより良い待遇の所に行ける可能性もあります。マネジメント経験を有していれば確率は上がるかもしれません。この年齢層は一般的にはそれが求められると思います。

転職先企業の社風にもよりますが、「新しい風」を歓迎する企業も中にはあろうかと思います。通関業務は厳密に規則通りに進めるべきとはいえ、それだけでは組織の成長という点では物足りない。適度な変化も必要でそのきっかけが中途採用のキャリアがある社員というケースも考えられます。年収/待遇に強くこだわらなければ選択肢は広くなると思います。

 

他業界はどうでしょうか?転職の際は、自分がアピールできる通関士と長い通関キャリアを軸として考えるでしょうから本人のやる気次第でいろいろと選択肢はあると思います。商社やメーカーの貿易部門であったり、関税のコンサルタント企業であったり、または独立して個人事業主の道もあるかと思います。ただ他企業への転職は年収(待遇)と与えられる役割についてはそれなりの制約はあると思うので何を重視するかの整理は必要ですね。

 

以上、思う所を徒然なるままに、20代や30代前半のこれからのキャリアを考えている方に向けて述べてきました。

 

参考になれば嬉しいです。

 

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