ひろさんの貿易・通関 雑記録

貿易、物流、通関に携わる会社員の呟きです。 輸出入業者や貿易通関実務担当者へ、ビザスクやココナラでコンサルもしてます。  

業者側から見た「好かれる業者」像

最近ブログを始めてから色々な方と知り合い教えて頂きながらここまで来ております。

 

その中で荷主側の立場にいらっしゃる、ふみさんのブログが大変興味深かかったので改めてこちらに掲載させて頂きます。

ブログはこちらです。

www.humi-importer-blog.com

 

 

荷主が求める業者(通関業者&フォワーダー)とは?という内容で、ポイントを抜粋しますと

①納品日の設定がスピーディ

②税率について親身に対応してくれる

③専門用語や船会社からのチャージなどを詳しく説明してくれる

④必要に応じて書類を訂正してくれる

⑤税関への説明が上手

⑥すぐ請求書を発行してくれる

 

と、控えめに(笑)6つを挙げていらっしゃいますが、これらの内容について業者側視点でお話ししてみようと思います。

 

 

①納品日の設定がスピーディ

物流業者としては物を届ける事が最低限の使命ですし、お客様の商売に関わる重大な事。

まずは納期ありきですね。

物流業者側にしてみると、数年前と比較すると運送業界が様変わりしており配車しにくい状況である事は事実です。

そんな状況でもまずは納期を早めに決める、提案する、お客様が納期以降の販売等の活動に注力できるように業務を進めないといけないですね。

 

②税率について親身に対応してくれる

こちらは通関業者、通関士に対する要望ですね。高い視点で言ってしまえば、難易度が高い通関士試験を合格した通関士の方ならば、得意とするフィールドではないでしょうか?ここで活躍しないとどこでするのか?というくらいの話だと思います。「親身」というところがポイントですね。

 

③専門用語や船会社からのチャージなどを詳しく説明してくれる

フォワーダーでも通関業者でも、この業界にそれなりにいると嫌でも覚えてしまう諸チャージ 類。他業界からの転職者や新入社員等は顧客への説明は難しいかもしれませんが、時間が解決してくれるレベルでもあります。難易度は高くありません。

 

④必要に応じて書類を訂正してくれる

ここは業者によるでしょう。特に通関業者は禁忌としているところもあるでしょう。

よくある思い込みですが、書類の訂正は必ずしもシッパーがしなければならないというような物でもないと思います。内容によりますが軽微な間違い、誤植、タイプミス等は輸入者が訂正したところで大きな問題にはなり得ません。場合によってはそのようにアドバイスする事もあります。

 

⑤税関への説明が上手

ここもある意味、通関業者、通関士の存在意義が問われるケースですね。

別の視点で、知識不足という場合を除いても相手にわかりやすくというのはビジネスではどの場合でも大事なスキルです。スキルというよりコミュニケーション力でしょうか?相手がどの程度の知識を持ち合わせているか、そして何を知りたいのか?それらを瞬時に見抜いて、それに合わせて説明をする。独りよがり、一方通行にならないよう、腹落ちする様に説明をする。知識を有してても、上手く説明できない(腹落ちさせれない)人は少なからずいます。

 

⑥すぐ請求書を発行してくれる

こちらは会社内部の事情もありそうな気もします。システム的にすぐに請求書を発行できない、上司の稟議が必要……等々。

ただお客様側視点で捉えれば、すぐに原価計算をしたい、費用を把握したいという事であれば要望の優先度が高い事は良くわかります。私のお客様も半数以上にその要望があります。社内で工夫をしてそれに対応をしています。

業務の自己完結という視点で考えれば、直ぐに請求書発行してしまえば業務もあっというまに終わる事にもなるのでストレスフリーになりますね。

 

 

ざっとここまで見てきました。

いずれの要望ももっともな内容です。

ただ言い方を変えると……いずれかが(または全部)できない業者がある……という事にもなりますね。できているものは要望にはならないので。

 

さて、なぜできない(場合がある)か……?という事です。

 

ここからは個人的な意見になりますが、担当者レベルでは上記の全てをこなす社員は、各企業に数人はいらっしゃると思います。その方々はいわゆるエースのはずです。

上記の6項目は、対策はハッキリしているのですがマニュアル化しにくいもの。標準化しにくいものです。

また、仕事に対する姿勢、熱量の多さ、意識量というキャラクターによる所も大きな要素です。

フォワーダー、通関業者という「企業全体」「社員誰でも」対応できるか?という事だととても難しいと思います。言い方を変えればそれらができるようならとても強い組織ができる事になります。

会社、というよりは結果として担当のデキに左右される。だから、その担当が転職した場合にお客様もその担当についていく現象が少なからずあるのでしょう。

私がこの業界に入った時にそれを見た時驚いた記憶があります。会社対会社の付き合いが絶対だと思っていたので。

 

なのでここで一つ導き出せるのは、会社でのそれなりの立ち位置にいる方は上記の6項目全て対応できる社員の数を教育等で増やす事。現場で頑張っている方は6項目ができるようなってエースとなり評価アップを目指す事。ビジネスでは何はともあれお客様からの評価ありきです。自己満足のみではいけません。

 

余談ですが、とあるワークショップで私が通関業者の話をしていた際、荷主側の方から「客側から業者に対して、担当通関士の指名はできないのですか?」と聞かれた事があります。

あまりの質問にその時は答えに窮しました。

しばらくの期間この事について逡巡しておりましたが、今はそれもあっても良いかもなと思っています。担当通関士のモチベーションが向上できるような仕組みで運用すれば良いだけの事。不満を感じているお客様が少なからずいる事は事実。通関士のやる気や能力も上げて、かつお客様に満足してもらう。悪いこと一切ありません(笑)。

少し考えてみようと思います。