今日は通関業者の客層についてお話してみようと思います。
あくまで個人的な見解でもあるのでご了承下さい。
今まで沢山のお客様と仕事をしてきましたが、どんなお客様がいるのかと言う事で、大きく二つの客層に分けて話を進めてみます。
一つ目は実輸出入者。お客様が直接の輸入者であったり輸出者であるケース。
二つ目は仲介業者。私の所と実輸出入者との間にこの仲介業者がいる場合。この業者の職種は様々で、同業者である通関業者やNVOCC、倉庫業者や運送業者、時にメーカーや商社であったりもします。ポイントなのは直接の輸出入者とこちらの通関側が繋がっていないことです。
違いを探してみましょう。まず仕事(通関実務)のし易さ。これは圧倒的に一つ目のケースの方が優れています。当たり前と言えばそうなのですが質疑応答のレスポンス、精度が違います。実輸出入者と通関業者との間に仲介者がいるのといないのとでは雲泥の差です。別の視点で営業的な側面からするとその方が良いケースもあります。企業間の相手との契約、リソースの問題、総合的なサービス等、仲介業者の存在があった方が良い場合や仕方がない場合もあります。
仕事の内容も実は二つのケースで(傾向として)若干の差があります。
一つ目のケース。こちらは(言い過ぎかもしれませんが)ルーチンにしやすい仕事が多いような気がします。実輸出入者はその商いのプロな訳ですが取扱商材は限定的です。会社規模が大きい程取扱商材も増えてくるかもしれませんが長期目線で見れば数ヶ月〜一年で一巡するので、そこからはルーチン化がしやすい訳です。通関以外にもたまのトラブルや付帯業務も出てくるでしょう。修正申告だとか更生の請求。減免税手続きや事前教示。包括保険申請に延納の更新……。一度経験してしまえば次回は問題なくこなせます。
二つ目のケース。こちらも一つ目のケースと同様な顧客の場合もありますが、ルーチンにし難い、トラブルが多い、手間がかかる、そのような仕事が多いような気がします。その理由はやはり間に仲介業者がいるという事、それと実輸出入者の数が多い事があげられます。具体的に言うとNVOCCからの通関依頼ですね。
この仲介業者の社風もポイントではあります。立ち位置としては実輸出入者から業務依頼を受けて通関業者に通関を依頼する訳ですが、そのまま書類の内容を確認をせずに通関業者に回す事があります。中にはかなり精度の高いチェックをして通関業者に回す業者も存在します。いずれにせよ我々通関業者としては書類のチェックは念入りに行う、わからない所は質問を投げる、それを徹底して進めます。たまに確認事項の内容が難しい場合や、商品知識の細かい所、法令による確認事項などで良く実輸出入者にその内容が伝わらない事があります。伝言ゲームのように仲介業者で話が曲がってしまったり止まってしまったりがあったりします。これはこれで仕方がないのである程度工夫をして進めます。結果工数や時間はかかります。またそれらが重なり合ってトラブルも発生します。結果として違ったHSで申告したり……納品に関しても様々なトラブルがあります。
NVOCCはビジネスの本質が、沢山の顧客を集めてコンテナで運ぶ事なので様々な輸出入者を抱えています。即ち一見さんもいる訳で商品取扱は限定どころか無限大です(笑)。
ルーチンにし難い、手間がかかる、と言うのは上記の理由によります。
通関業者側からするとどちらが良いのか……という所ですが、これも社風による所でしょうか。一般的には経営の面から見ても、手間がかからず利益が高い顧客を志向するのでしょう。
私の個人的な見方としては、大手企業から中小企業、実輸入者から仲介業者、バランス良くお付き合いをするのが良いと思っています。どこかに「偏る」というのは宜しくない。
以前実務を経験していた頃にも思いましたが、通関士としてのスキルも偏った顧客層しか取扱が無いと成長しない。つまらない。
実輸出入者の通関は取扱商材が限定的になる傾向があります。その仕事をしていた時に「つまらないな」と思った事があります。スキルは上がらないなと(不謹慎で、すみません (笑) )。
かと言って取扱商材が多くルーチンにならないような工数が多い仕事ばかりしていると毎日があっという間に過ぎ知識が定着しない(振り返る時間がない)。トラブルは何も通関に関する事だけでは無いのです。
どちらかと言うと私は「修羅場を潜った数だけ成長する」信奉派。でも過ぎるのも注意が必要。
どれだけ沢山の商材の取扱をするか、内容の濃い仕事をするかで経験値も上がり、将来の選択肢も広くなるだろうし結果的にラクにもなります。
今、大変な仕事をなさっている方は長期視点を持てればストレスも軽減されるかもしれません。
話がそれましたが、客先(客層)を客観的に見る事で傾向を捉えられれば対応もしやすくなるのではないかと思っています。