ひろさんの貿易・通関 雑記録

貿易、物流、通関に携わる会社員の呟きです。 輸出入業者や貿易通関実務担当者へ、ビザスクやココナラでコンサルもしてます。  

通関士:担当者の比較

最近、身近に出来事があったので今回はこちらについて話をしてみようと思います。

 

このテーマについては今後折に触れて述べたいと思ってています。

それだけ要素が沢山ある内容だと思っています。

 

今回は内側(通関業者内)の視点での話です。

 

通関士と従業者との違いはそれ程感じた事はありません。

経験値(従業経験年数)の差はそのまま戦力の差に繋がります。

もちろん各企業内においての業務割振要素もあるのでしょうが、ペーパー通関士よりは何年も実務経験がある従業者の方が、頼りになる所は多いと思っています。

 

それは一つの面であり全てではありません。

 

通関業(通関士)は法律の上での仕事なのでコンプライアンス遵守、客先からのどんな要求でも法令違反するような事はしないというマインドを備えている事を前提としますが、大切なのは仕事に対する姿勢と客先への対応がしっかりとなされているかどうか?です。

 

 

通関では仕事の上で必要とされる知識(法令等)は膨大にあります。知らないと手続きを進められないし調べるのにも時間がかかる。そもそも客先に説明もできない。通関業の本質は代理代行業です。客先からの依頼で手続き(業務)が発生する。その依頼主である客先が手続きを理解していないと全てにおいて前に進められません。このようなケースは結構多く通関業者(通関士&窓口担当)はいかに客先が納得できるよう説明ができるか?に時間を使ったりします。

 

問題なのは知っていても(知識を持っていても)客先に上手く説明できない人(しない人)です。インプットはできるかもしれないし好きな人はいるかもしれないが、アウトプットができない人は案外多い。

 

通関業者はある分野での専門家です。それらに関連するような法令や情報を客先に伝えられないのは宜しくない。伝えているけど客先が理解できないケースも同様です。

尤も、輸入者輸出者とも、それらを業として行う際に発生するであろう法令上の責任や義務については全て追わなければなりません。

良く言われますが「通関業者が教えてくれなかった」は「サービスの不満」という事で、法令的に問題が生じた際の責任所在の要因となるものではありません。あくまで通関業者は手続きの代理代行業者なのです。

 

話がそれましたがそうであったとしても、客先に納得できるように説明するというのは、他社競合と比較する上でも重要なサービスだと思っています。

 

例えば申告業務において税関の書類審査になっている場合で税関から質問があった際、客先に質問を投げかけるのも、

「税関が〜について質問がありました。ご確認お願いします」
というのと
「税関から〜について質問があったのですが、〜という理由によるものです」
を比較すると調べ方も変わってくるだろうしお互いの時間も短縮されます。


「この件、この法令に抵触する可能性があるので税関に引っ掛かってます。許可になりません」で客先に報告が終わるのと、
「この件、この法令で税関で引っ掛かっていますが、この〜を確認して〜であれば問題ないので〜を確認してください」と伝えるのでは聞く側も進行スピードも全く違います。

上記を読んでいてまさかと思うかもしれませんが、案外前者で回答する担当が多いのです。長くこの業界で仕事をして客先から聞いたり同業者の担当を見たりして感じる事があります。


一般論で言えば仕事ができないなあと思うのは、だいたいが上記の前者の発言をする人間かなと思っています。


これは仕事に対しての姿勢にも繋がっているとも思っています。
必ずしも経験値(通関実務年数)の差だけでは無いような気がしています。


最近は社内での教育も、後進者に対しては法律や手続きなような知識的なものに加えて、話し方であるとか伝え方の教育も必要だと思い取組む準備をしています。

 

客先側から見ても通関業者側の担当の質を見極める場合は、まずはその発言が、事実を述べているのみで終わっているのか?さらに根拠の説明もなされているのか?加えてどうすれば物事が前に進むのかのアドバイスがなされているか? この3段階で判断ができると思います。

 

あくまでも通関業者側の担当の質は、経験値によるもののみでなく仕事に対する姿勢(積極性や広い視点を意識的に持っている)を加えたものだと思っています。