ひろさんの貿易・通関 雑記録

貿易、物流、通関に携わる会社員の呟きです。 輸出入業者や貿易通関実務担当者へ、ビザスクやココナラでコンサルもしてます。  

なんでその仕事やるの?

今回は違ったテーマで話をします。

 

仕事をしていて意義を見出せない時がありますよね。

 

「世の中の為になってるのかな、これ?」

「お客様から感謝されてるのかな」

「会社の利益になってるの?」

 

色々とあります。

 

ともすると、目に見えるのも全てがこの世の全てとばかり、考え、判断し、時として間違った選択をしてしまう時もあるように思います。

 

私が会社に入社してまだ20代の頃。

ある営業所の現場で朝から夜遅くまで働いました。その当時は会社でも横の繋がりは今よりは太く、他営業所の仕事内容や噂なんかも結構よく聞いたりしてました。

「あそこの営業所、赤字なんだって」

「へー、そんな仕事やめちゃえばいいのに」

深く考える事もできない当時の自分はそんな反応でした。

 

しばらくして一つの担当の責任者になりました。収益を見るようになって、自分の営業所の所長や他営業所の所長と話すようになり、同じような事例の話になった時も、

「何であそこの営業所のあの仕事は赤字なのにやめないんですか?」

と聞いた事がありました。返ってきた言葉は、

「赤字でもやらなきゃいけない仕事なんじゃない」

と、分かったようなわからないような……釈然としないまま、また時間は流れて行きました。

 

それから、自分は紆余曲折で、営業所の責任者として今ここにいます。

 

管理職になってわかった事(腹落ち)がいくつかありました。会社の全体の会議に参加して、会社の経営視点を学ぶきっかけも得られた事もあります。

 

例えばですが社員とパート総勢で三桁後半の規模のある営業所があるとします。収支は赤字。赤字だからその仕事やめましょう、との判断ではそこで雇用されている従業員全員行くところがなくなってしまいます。社員は別にしてもパートは全て解雇になってしまいます。経営者は色々と黒字に向けて今後の戦略を練ります。黒字にするには?どれくらいの期間で……?

収益だけを考えるのであれば、即業務終了でいいかもしれません。でもそれだけの人数を抱えてそれくらいの赤字?であれば従業者の雇用という観点からしても事業継続はOKでは?という見方もあります。

経営者は雇用を何とか守ろうとします。最善の手は打ちますが黒字化には時間はかかります。

 

ある営業所ではA社(と仮定)の仕事は赤字だが、他営業所のA社の仕事は黒字だというケースもあります。

似たような話で、長期視点でA社と付き合っていくと(今は赤字でも)大きなビジネスに繋がっていく、というケースもあります。

 

新しい事業の立ち上げも、当初は赤字のケースもあります。

私のいる会社もトップの発案で新事業を立ち上げてきた経験があり難産のケースもいくつかあったようです(私が立ち上げた仕事は早々に黒字になったのでお荷物にはなっていないと自負しております)。

なかなか黒字にならず「しばらくは研究開発費として赤字は認めるから!」なんて言ってましたが、最後はキッチリ黒字に持っていきます。

さすがだなあ、と思います。すぐに仕事から撤退せずに粘り強く経営し、従業員にはしっかりと評価を与えて黒字にしていく。

ドライな言い方をすれば、従業員の事を考えずすぐに仕事を店じまいして従業員解雇に踏み込む経営者は努力を怠っているようにも見えます。

 

上記いずれの場合もなかなか最前線で働いている社員の方には肌感覚でわからない事が多いと思います。説明されて頭でわかっても、腹落ちしない。もともと経営者と最前線の従業員は見ている時間軸が違うので当たり前と言えば当たり前です。

 

企業の事業の赤字は、そこで働いている従業員の責任ではないと自分は思っています。稀にそういうケースがあるかもしれませんが環境の変化、経営戦略に起因する赤字が多いのではないかと思っています。

 

なので必要以上に今やっている仕事が赤字だからと言って自分の気持ちを下げる事もないとも思っています。

 

私は同じ目線で考えると、その赤字の仕事を率いている責任者はどれだけ大変なんだろうと思うのです。

ただでさえ社員の皆さんがなかなか士気が上がらないのにそれをどうやって士気を上げていくのか?頑張っても頑張っても黒字にならない環境だった場合、自分もなかなか気持ちも上がらないでしょう…その上、従業員の皆までモチベーションを気にしないといけないとは……その苦労、本当に頭が下がります。

 

企業には、花形部署もあれば不振な部署もあります。全ての部署が大儲けでしょうがないなんて企業、大手ならまだしも、殆どの中堅中小企業には当てはまらないのではないでしょうか?

 

良くも悪くもその企業の中では、部署の成績によって自分の給与の増減が決まるというのはそれ程多くはないのではないかと思っています。そうであれば不公平感が全体に強く蔓延します。従業員に支えられている企業の経営は成り立たないのではないかと……。

 

会社の売上や利益は会社の戦略や仕組みから生み出されるもので、個人の給与に直接影響があるのはその個人の為した成果だと思っています。

 

正当な評価を得られてない(待遇に反映してない)、仕事をやった分だけ給与を貰えてないと感じる場合は、その場から去れば良いだけだと思っています。外資などはベース+出来高制という所もあるようだと聞きます。

 

ある著名な事業家の名言ですが

「下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ。」

結局世の中は資本家か労働者しか存在せず、資本家に対抗すべき労働者がめざすべきは上記の道なのかな……と思います。それが嫌なら資本家=起業ですね。

 

随分と偉そうな事を話してきましたが、私は労働者で末端に近い管理職の1人です(笑)。