ひろさんの貿易・通関 雑記録

貿易、物流、通関に携わる会社員の呟きです。 輸出入業者や貿易通関実務担当者へ、ビザスクやココナラでコンサルもしてます。  

通関業者からのキャリア論:その1

こんにちは。

 

ブログ更新もだいぶご無沙汰になりました。コロナ禍で業務も環境も様変わりし毎日が考える事だらけでしばらく筆を握れませんでしたが、今日は最近少し感じている事を書こうと思います。

 

以下はあくまで個人的な考えでの話です。

 

私もそれなりの年になり将来の身の振り方を考えるようになりました。今後どれくらい働かなからばならないのか……70歳くらいまでは現役でいる必要がありそうですね!いやはや我々が20代で就職した時にはとても想像できない環境の変化です。と言っても嘆いてばかりでは何も始まらない。前向きな姿勢で死ぬ少し前まで働くつもりで、どうせ仕事をするなら楽しく充実した仕事をしていきたい、というのが私の想いです。今の通関の仕事にはとても満足しています。この先も今まで培った貿易や通関の知識を活かした仕事で、世の為人の為に務めて行きたいと思っています。

 

今の部下に対して仕事上の教育では知識や技術を教えるのは当然なのですが、より前向きに吸収してもらう為に個人的には「社員自身の為になる」動機づけをしてきました。

 

20年くらい前で、また割と年が近い部下に対しては「成果を上げると昇進する」というスタイルでやる気を喚起させるよう働きかけをしてきました。それが正しいやり方かどうかは、もちろん個人の考え方にもよるし時代の風潮にもよるのでわかりません。ただ、今の時代よりは空気としてマッチしていたようにも思いました。それくらい前の環境ですと、まだ普通の企業では今のように年功序列の完全否定は無かったですし、割と仕事をやっただけ増えていった時でもありました。技術を覚える、知識を吸収する、より多くの業務をこなす。すると組織の売上もあがり個人の評価も高くなる……という図式です。多少辛い事もありましたがそれも割と受け入れられていた時代でもあったような気もします。

 

今の教育の仕方については少し考えさせられる所があります。まず昇進にこだわる社員がそれ程多くない事。辛いし待遇も少ししか良くないのならラクな今のままでいい、という社員の割合が増えているような気がします。

それに先行きが見えない、というのも大きいのかもしれません。コロナ禍もありますが、年功序列どころか大手企業の大規模なリストラ。会社は自分を守ってくれない、という意識も働くかもしれません。今でさえ年金支給が相当先の話なのに、今の30代、20代の社員にしてみたらハッキリとしたイメージが湧くはずもなく、とりあえず今を生きるので精一杯(いつの時代もそうなのかもしれませんが)、将来には不安しか無い……という方が多いのかもしれません。

 

少し脇にそれましたが、最近の私の教育方針は「独り立ちする能力を身につけるには」という姿勢で話をしています。今いる会社でも、仮に転職したとしても、市場価値を高めるには……というアプローチをしています。何となくですが、もう会社に何から何まで依存して働き続ける……と言う時代ではなく(私は通関士を志した時から漠然とそのように考えてはいました。)、またそう思っている方が特に20代、30代には多いのでは無いかと思います。

 

ですので教育の過程では、ゴールは「芸を身につける」。「芸」とは、それで稼げる、という事です。これらを覚えて身につければ、どこに行っても評価されるから、という事です。

 

さて、それを具体的に職場環境に置き換えてみます。

私が言う「芸」とは、通関士としてどこの会社でも活躍できる能力を持っている事です。通関士の仕事は奥が深く、経歴が長い人でもHSを引いた事がない商品があったり、経験したことが無い難しい手続きがあったりすると思いますが、それらを全て知らないと他社では活躍できない、市場価値は高くない、とは思ってはいません。新しい事柄に出会った時に、攻め方というかどう進めれば解決するか、という事が経験を積むとわかる時が来ます。その状態に達していれば充分他社でも活躍が期待でき市場価値も高いと言えるのではないかと思うのです。もちろん今いる会社においてもそうです。

もう一つは、ある程度の顧客対応が通関士として出来る事。企業によっては完全分業制で、通関士は顧客と接する事が無い事もあると思いますが、私個人としては顧客の考えている事がわかる通関士は価値があると思っています。この貿易通関業界の中で、完全に通関だけやっている通関士の割合はどれくらいでしょうか?人数からすると大手企業に属する(完全分業制の)通関士の方が多いかもしれませんが、片や中堅/中小企業の通関業者の数という視点でみると企業数はそちらの方が多いと思います。その中での企業としては顧客対応できる通関士の方が重宝されると思います。

 

ちなみに……「顧客対応できる」というのは「顧客から支持される」されるという事です。単に顧客から来た書類を捌くと言う事ではありません。

 

そう言った考えのもと私は部下に対してモチベーションを気にしつつ教育を進めています。いつの時代も新人は存在するので、その時代時代の価値観をしっかりと見極めて、変化しながら教育をしていかなければならいと強く思います。

 

10月3日は通関士試験でしたね。感想は如何だったでしょうか……とりあえずはお疲れ様でしたと言いたいです。後は……果報は寝て待て……ですかね……。

 

次回は通関業者で働いている方のこれからのキャリア論についてお話ししてみたいと思います。