ひろさんの貿易・通関 雑記録

貿易、物流、通関に携わる会社員の呟きです。 輸出入業者や貿易通関実務担当者へ、ビザスクやココナラでコンサルもしてます。  

通関業者からのキャリア論:その2

こんにちは。

 

まだ10月上旬だというのに・・・暖房が必要なくらいの温度ですね。今、フリースを着込みながら書き込みしております。皆様も風邪をひかれぬようご注意くださいませ・・。

 

さて、今回は「通関業者に従事されている方々」のこれからのキャリア形成について、最近感じている事を書こうと思います。

ここでいうキャリア形成とは、既存企業のままでの勤務、同業界への転職、他業界への転職等を言います。

 

「若手(20代~30代)と中堅(40代~50代)」と「従業者と通関士」という二軸で捉えて進めてみます。

 

①若手の従業者

結構な割合の方がいらっしゃるゾーンかと思います。

まずは通関士試験の合格を目指してほしいです。従業者として登録し書類作成や税関対応もされている方はいらっしゃると思いますが、通関業者にいて通関士として仕事ができないのは物足りない。従業者でも経験は積めますが、所属している企業の個人への評価は異なります。待遇も良くなるでしょう。自分自身も「従業者として」仕事するのと、「通関士として」仕事するのではやる気が違うはずです。あとで話をしますが、通関士を取っておけば今後の自分の将来の選択肢も多少広がってきます。やはり国家資格です。ステータスは低くはありません。

同時に実務をしっかりと経験しておくべきです。そして自分のものにしておく事。従業者として得られる経験は限定的かもしれませんが、先を見据えれば2度と経験しない事を今やっているのかもしれません。入ってきた後輩に説明ができる、客先に聞かれた事がすぐに回答できる、というように漫然と仕事をせず常に周りから評価されるようなアウトプットができる人材を目指しながら仕事に励んでほしいと思っています。

この層での転職ですが、結構いらっしゃるようなイメージを持っています。単に転職と言う事であれば良いのではないでしょうか。年齢も若いうちにリセットして違う道へ・・・アリだと思います。私がお勧めしないのは、数年かけて通関士を取り切らず、諦めて転職する道を選ぶ事。数年かけた時間が無駄に過ぎたような気がします。初めからスケジュールを立てたキャリアプランなら良いのですが、試験に疲れモチベーションも下がっていき仕事にも影響が出て・・・という方も少なくないのではと思います。そういう状態で転職をこころざし「経験を活かして・・・」というのは、同業種でも他業種でも企業側にはあまり評価されないのではないかと思います。素人より多少経験を積んでいる事は良いのかもしれませんが過度の期待は禁物です。

 

②若手の通関士

①よりは少ないボリュームゾーンかと思います。当たり前ですが中堅よりは経験も若干足りない。でも所属する企業からするとかなり期待をされている層だと思います。

まず同社の経験豊富な中堅の方を目標にして、通関実務の経験を沢山積む事だと思います。別に同社でなくても他に目指すべき方がいらっしゃればその方でもいいです。経験が少ない通関士・・・今は良いかもしれませんがいつまで経ってもその状態では評価も上がりません。年齢が上がるにつれ記憶力もパワーも落ちてきますので、ゆっくり経験を積んでいくという考えは私はあまり支持しません。気力が十分な内にできるだけ経験をした方が後々の市場価値も上がると思います。会社から言われた仕事だけをこなすのでは無く、それ以外の仕事も進んで取り組む。それができない場合でも、聞き耳だけは立てておき他の社員がどういう仕事をしていてどういう処理をしているのか?トラブル対応は?と首だけ突っ込むとかできるとベターですね。そうでもしないと自分が期待する経験量は、会社が与えてくれる経験量を上回りません。

先にも上げましたが、この年齢層で通関士であれば所属企業の期待値は高いと思います。もちろん人員構成にもよります。ただ一般的には、これから労働人口は減っていきパイが少なくなる中での難関の通関士試験を合格している訳ですから、価値がある人材だと企業は捉えるのではないかと思っています。

そういった視点で考えると同業他社への転職も選択肢としてあると思います。同業者間においては同じ価値ある人材となります。各企業内事情によってよりその層の人材を強く欲するか、そうでもないかという差は出てきます。

より良い待遇を求めて転職、もっと幅が広い経験を積むために転職、両方とも成り立ちます。もちろん今従事している企業に残って活躍し昇給昇格を目指す道もあります。

他業種転職も、同業種よりはインパクト少ないかもしれませんが選択肢としてあると思います。ここでは貿易関連業界に絞って話をしますが、輸出入取扱いのある商社、メーカーへの転職も活躍が期待できます。もちろん輸出入の知識を活かせる部門での話です。求人情報を見るとそれなりに需要はあるようです。中には「自社通関の為、通関士試験合格者募集」などの記事も見た事があります。ご存知のように一般の方には取扱いが難しいので通関という仕事を「業」として専門職化し「通関士」を従事させている訳で、その経験をもつ人材が他業種内での輸出入業務で活躍できない訳がありません。その企業内のプロパー社員よりもパフォーマンスが高い場合もあると思います。

ただ転職という観点でいえば、できればより多くの経験を積んでおく事でリターン(必ずしも待遇だけではなく選択肢の幅と言う事)も大きくなるのではないかと感じています。

通関士試験は合格したが実務経験は1~2年・・・というキャリアですと・・・他業種へ転職する場合の選択肢はそれほど多くはなく市場価値もそれほど高くはないかもしれません。

長くなりましたが、この層の方で強調しておきたいのは、

・転職にあたっては一般的には今所属している企業の自分への評価が一番高い

・いろんな意味で今が一番選択肢が広い

と言う事です。いろいろと将来を思い描ける立ち位置にいると思います。

 

最後になりますが、「若手」に共通するのはがむしゃらに仕事をしてより沢山の経験をしてほしいという事です。この通関のキャリアを軸に何かをしようとするのならば、経験が足りてないのは致命的です。ただ「あの業界/あの企業にいた」だけでは市場価値は無いに等しい(あたりまえですが)。様々な経験をして、同業種でも他業種でも価値あるアウトプットができる人材、これを目指すべきと個人的には思っています。

 

さて、若手の話は区切りがつきましたので、次回は中堅層のキャリアの話をしようと思います。