今回は事前教示について少しお話してみます。
詳しくは税関のHPに説明がありますので、こちら
https://www.customs.go.jp/tokyo/zei/jizenkyoji.htm
以下、現場での事前教示の運用について話を進めていきます。
・口頭の事前教示と書面の事前教示
この違いについては税関のHPに記載がありますが、ざっくり言ってしまうと
→ 口頭:回答は早いが、効力が弱い
→ 書面:効力は強いが、回答は遅い
上記の傾向から、
「日常の業務で、急に確認が必要となった時」は口頭の事前教示、
「輸入計画の時間がじっくりと取れる段階での確認」については書面の事前教示が用いられるケースが多いと思います。
また、同一商品なのに申告官署(港別)でHSが異なっている(いた)場合や、現行のHSが明らかに異なるだろうと思われる場合の時にも書面での事前教示をする場合が多いです。
不思議に思われるかもしれませんが、同一商品でHSが異なる?という現象が発生するケースですが、これは過去のブログでお話ししました。こちらです。
https://www.hirosanblog.net/entry/2020/02/23/143346
書面での事前教示は申請書を作成する上でも時間がかかります。
・運用上の話
日常での業務の中では事前教示を活用する場合は殆どが口頭の事前教示です。
輸入実績がある商品については必要ないですが、新規商品でかつ紛らわしいものについては、輸入者に断りを入れた後に口頭の事前教示にかけます。
私の所での取り扱いの中でよく迷うものがあるのは・・・
一般的な商品で、バッグ(42類か39類、63類)や、ストラップ(73類か83類、56類等)が多いですかね・・・
特に上記の該当HSの違いは、関税率の差がとても大きいので分類に気を使います。(と言っても、その他の商品の分類に気を使わない訳ではないですよ。)
口頭の事前教示が効力が強くないとはいえ、直近の輸入に関してはこの裏付けで十分で、迷いがあったとしても根拠をもって申告に進めます。
口頭の事前教示も、問い合わせする時に提示する資料によって回答がはっきり得られないケースもあります。
実物(サンプル)をもって行ければ良いのですがそれが無い場合が多く、紙ベースでの資料(写真や仕様書)のケーズが多いです。
そうすると詳細がわからない事もあり、税関としても不確かな事は言えないので回答を出さない事もあります。
そういう場合には、「仮定の話で、こういう場合はどうか?こうでない場合はどうか?」という形で、条件付きでの回答を何とかもらうようにしています。
1度の案件にそう何度も税関に足を運ぶ事も出来ないので、なるべく1回の問い合わせで用が足せるようにしています。
税関としては事前教示の活用を勧めているので、輸入者と通関業者の間で、回数が多くなったとしても必要とあれば足を運んだ方が事故は少なくなります。
話は変わりますが、上に挙げたとおりいろいろな経緯があって現状申告しているHS(=関税率)が本来の正しいHSと違っている事もまれにあったりしています。
その恐れや疑いがある時は、事前教示にかけて正しいHSを確定させるのも一つの方法です。結果として正しいHSが現行のHSよりも関税率が上がる可能性もあります。ただいつかは正しいHSで申告する事になると思うので、輸入者としては原価計算をする上でも常にアイテムごとの正しいHSの管理をしておいた方が事故はないのではないかと思います。
事前教示は便利な制度です。委託通関業者と相談して最大限活用する事をオススメします。