通関士試験で勉強する中で、減免税制度が一つのヤマとなります。
その中でもこの制度ですが、個人的には良くわかる話だという事で割と覚えやすかったような気がします。
詳しい制度は税関のHPに譲るとして
http://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1604_jr.htm
実際の現場で観ると………
実はあまり活用した事がありません。私のお付き合いのある顧客や、取扱貨物がそうさせるのか……
確かに違約品という商品はありました。それも結構な頻度で出た時期もありましたし、海外で作るものですから詳細な打ち合わせが無かったら、作業工程ミス等が有れば不具合品というのは少なからず存在するものだと思います。
ではなぜこの制度を使って関税の還付を受けないのか……?
いくつか理由がありますが
1、還付されるのが関税だけだから(=少ない金額の還付になるから)
2、手続きに費用がかかるから
この2つのバランスが「やめとこか…?」になってしまう訳ですね。
1については、たまたまだったのかもしれませんが、その違約品対象の貨物を輸入した際の関税がそれ程多くなかった事がありました。この制度は関税は還付されますが、消費税は還付されません。関税率が高く課税価格も大きければそれなりの関税額にはなりますが、そうでないと案外関税額は少なかったりします。日雑なんてそうかもしれません。
そして2についてですが、この制度の要件として、該当する貨物を保税倉庫に集約しなければいけませんね。そして税関に対してのこの制度を使うための準備や交渉に時間がかかる事になります。その間の物流費は、商品集約のための運賃、荷役料、そして保管料……結構な費用を物流業者に払う事になります。
この制度を使用するために、数十万の関税の還付を受ける為に、それ以上の物流費を業者に支払う……何のために行うのか……?
と考えて、やめてしまうケースが多いのです。
場合によっては業者側もそのように進めます。
荷主にメリットもなく、業者側も工数がかかるだけで利益にならなければお互いのため……という事ですね。
よくある結末としては、滅却するか、輸出するかの見積をとっての選択になります。納付した関税、消費税については、その商品が修繕されて戻ってくるものなら、別の減免税制度を使えますし、それとは別に輸出した後に税務署に行けば輸入時の消費税を還付してくれると聞いたこともあります(これについては管轄官庁と該当法令が異なります)。
この業界に入って初めてこのスタンスで仕事を進める事を知った時は少しびっくりした事を覚えています。
「税金と物流費って、天秤にかけられるもんなんだな」…と……