しばらく時間が空きましたがブログを再開します。
原産地について偽った表示又は誤認を生じさせる表示がされている外国貨物は、輸入が許可されません。関税法71条。
個人的にもこの「輸入ができない場合」というのは通関士試験を勉強していた時に重要項目として良く記憶をしていました。ただ「原産地について直接若しくは間接に偽った表示又は誤認を生じさせる表示」という表現が良くわからずその当時の使っていたテキストは今に比べるとわかりにくく親切でもないので、通関業務の現場に来てようやくこういう事か?とわかったような法律でした。
通関の業務をやっていると税関検査は一定数発生します。税関職員の現物の何を確認するのか?の一つにこの原産地表示があります。
我々通関業者は検査でこの原産地表示について引っかかった場合はそれなりの覚悟を決めます。法律では「偽った表示」又は「誤認を生じさせる表示」の抹消若しくは訂正又は積戻しのいずれかの処置を行うことと記載されていますがほとんどの場合は積み戻しはせず、抹消か訂正が行われます。
抹消というのはその記載を消すこと。削り取ったりその表示の上から剥がれない無地のシールを貼ったり。
訂正というのは適切な表示の記載があるシールを貼るというケースが多いです。
これを該当する商品に全て貼ります。日雑である場合は何千ピース、何万ピースとあります。これを外貨のままの状態で現場で作業をする訳です。一般的には作業員を雇って作業をする場合が殆どでしょうが、通関業者として何人かは現場で立ち会わないといけません。もちろんルーチンは別にありますので、相当な業務のシワ寄せが来ます。
電話で検査に行った担当から「原産地でひっかかった」と連絡があった時は暗澹たる思いです(笑
もちろん輸入者も同じだと思いますが。
納期の遅延は間違いなくそれも数日単位ではないでしょう。輸入量が多ければ多いほど作業時間はかかり現場の段取りまで考えると数週間の日数はかかります。加えて決して安くない作業料金も発生します。大きな損失です。
条文を読んだだけでは非常にわかりづらく輸入者としてもピンとこない内容ですが通関現場では最も身近で一番注意してほしい内容の一つです。
税関のHPです。
http://www.customs.go.jp/zeikan/seido/origin/qa_origin.htm
全ての商品をこの条文に違反しないように表示する(そういう状態にする)のは、どこまでできるかわかりません。ただ税関検査で現場で現物を確認し指摘を受けたらもう言い逃れはできません。輸入者は良く良くこの条例を覚えておいて欲しいと思います。